映画評(ホット・ドックス・カナディアン国際ドキュメンタリー映画祭)

母なる自然よ、トナカイの群れをずっとお守りください」──チュクチの人々の祈りがトナカイを中心としたものであろうことは、驚くべきことではない。樹木ひとつない極北東のツンドラで、命を支えてくれるものは他にそう多くはないのだから。干渉を抑え、客観的なアプローチで撮られたこの映画は、厳しい北極圏の中で生き延びるトナカイ遊牧民の大家族の世界へ、私たちを誘う。何もかもすべてが厳然たるわけでは決してない。まるでかわいいイウォークのような子供たちは、両親たちと同じ仕事に追われるようになるまでに、遊ぶ時間がふんだんにある。

人を言いくるめたり、叫んだり、強情を張って一人になりたがったりする長老のヴクヴカイは、いつも好感の持てるような男ではない。彼はちょうどトナカイの群れのように大家族を扱っている。まるで常に指示を出し、見守ることに必要なことであるかのように。私たちの目が向くのはヴクヴカイだが、彼を詳しく描いているがために、他の人物の鋭い描写が得られない。この点はこの映画の最大の欠点だ。

もちろん、映画が私たちに何を見せ、何を見せていないかを考えるのは面白いことだ。1台のトラクターと頭上を飛ぶ飛行機1機以外は、群れを脅かす銃も捕食動物も登場しない。近代的なものはほとんど登場しない。チュクチの人々について、ある意味、改ざんした人類学的観点を監督が示そうとしたのかどうかは、好奇心が湧く点だ。各章の風変わりなタイトルも、同じような思いを抱かせる。

映画の終盤で私たちはようやく、現代ロシアと昔ながらのチュクチの生き方の間にある緊張を感じる。それは子供たちがヘリコプターで学校に連れて行かれてしまうことについて、ヴクヴカイが気をもんでいるときだ(ここカナダでは、「寄宿学校」という言葉は背筋を凍らせる)。

これまでに私が見た遊牧民に関する映画の中で、この映画が最も興味深いドキュメンタリーではないことは、たぶんこのドキュメンタリーの本質的な価値によるものではなく、私の映画鑑賞の傾向のせいだろう。雪はまぶしすぎるかもしれないが、目を見張るべき景色はあり、気だるい観察的なペースは私にとっては気にならない。しか
し、集中力がない観客は、この映画は避けたいと思うかもしれない。(リッキー)

オリジナルページ http://www.panicmanual.com/2012/04/25/hot-doc-review-tundra-book-tale-vukvukai-rock-aleksei-vakhrushev-105-minutes-russia-2012/