「The Tundra Book」の背景

映画の概要(あらずじ、基本情報、受賞歴、監督紹介など)はこちらをごらんください。

  このドキュメンタリーは、世界で16千人しかいないロシアの先住民、チュクチ族の

チュクチ自治管区(日本含)

チュトコ半島とチュクチ自治管区(赤枠)

暮らしを記録したものです。

  チュクチの人々は、ユーラシア大陸の最北東端のチュトコ半島を中心に、ロシアのチュクチ自治管区の8つの地区に居住しています。ロシアで最も厳しい自然環境で最も風の強いところだといわれています。冬の寒さは零下15度から40度くらいまで下がります。チュクチは、広大なツンドラ地帯のなかでトナカイを追って遊牧をするグループと、ベーリング海峡の海岸地帯に定住する、海洋ほ乳類の漁労をするグループがあります。

 映画では「トナカイの人」と呼ばれる遊牧をして暮らすチュクチの人々を取り上げています。彼らはトナカイの皮で作ったテント「ヤラング」で移動をしながら暮らしています。着るものはトナカイの皮で作られ、トナカイの肉を食し、生活用品の多くはトナカイの骨や角、皮に依存してきました。彼らは独自の言語「チュクチ語」を話し、特有の文化を持ってきましたが、若いチュクチはこうした生活から離れ、ロシアの同化政策によって、ロシア語しか話さない人も増えています。

 子どもたちは親から強制的に引き離され、寄宿学校へ連れて行かれます。子どもたちは自らの言葉や伝統文化を失い、親とのコミュニケーションさえ奪われてしまいます。そして、厳しい自然のなかで生きる術をも失ってしまうのです。

 このドキュメンタリーは、雄大な自然と圧倒されるようなトナカイの群れ、そのなかで生きるチュクチの人々の生活が、見る人の心を揺さぶるように描かれています。私たちが失ってしまった生きる力を彼らは持っています。そして、彼らのためにこの地球環境を守っていかなくてはいけないのだと思います。

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